伊勢新聞

2020年6月30日(火)

▼桑名市の歴代の上下水道部長が就任ごとに桑員河川漁協の組合長にあいさつに出向いていたことについて、現職の部長が「市が一方的に頭を下げてあいさつに行く理由がない」。「行政側から漁協へ『あいさつ』に行くよう指示された」という工事業者の言い分については「(そんな)指示するなど聞いたことがない」

▼同漁協が工事業者へ「協力金」を請求したなどとして恐喝未遂容疑などで逮捕された事件である。市の言う通りなら「被害企業は何の理由もなく自分から恐喝をされに行っていることになる。そんなおかしな話があるはずがない」と長年既遂を放置してきた捜査当局の関係者にまで皮肉られている

▼逮捕容疑については「(同組合に)工事の許可を求める法的な必要性はない」と語り、市も同漁協に税金を支払い続けてきたことについては「支出根拠の分からない金。出し続けるのは良くない」

▼支払い名目を「補償金」から「環境保全協力金」へ変えたりしている。「良くない」と百も承知の上で、だからこそもっともらしくうわべを繕ったということだろう。市の釈明はおもしろい。主導した張本人の県に聞けば、もっとおもしろいことを言うに違いない

▼地元のクレーム対応で評価項目の「現場管理」の点数が上下し、公共事業受注に影響するという方式。不当要求を断れない構造として工事関係者が指摘している(まる見えリポート)が、四半世紀前はなかった。県が行政指導で「地元の理解」を入れているだけ。〝共犯関係〟も進化した。ちなみに、当時本紙が書いたのは別の複数の漁協である。