▼統計とか調査の分析というのは難しい。「みえ県民意識調査」で幸福感が前年同値だったことについて、鈴木英敬知事が「コロナへの不安があっても変わらなかったことは一つのポイント」
▼総務省の労働力調査で非正規労働者数が6年間で最大のマイナスとなる中、三重だけ気を吐いているようで頼もしいが、県民意識調査は1月―3月の実施。3月末から県民を危機感のどん底へ追い込んだ「コロナ不安」がどこまで反映されているか。その説明がなければ、全国まれな楽天感が県民性という証明にはなるまい
▼9回目の調査で、有効回答率は過去最低の47・5%についても知事は「若者で上がったことはうれしいが、向上する仕組みを検討したい」。調査結果から何を読み取るかの問題で、知事は若者の回答率向上を評価し、過去最低の回答率は今後の課題としたということだろう
▼回答率漸減は年来の傾向で、打開策として今回ウェブサイトからの回答を受け付けた。結果若者が3倍に増えたが、逆にその他の低下が際立ったという見方はしないのだろう
▼今回新設した「SDGs」(持続可能な開発目標)や「ソサエティ5・0」の質問。77・6%、84・1%が「知らない」の回答だったのは若者らしさか、それともカタカナ言葉に弱いお年寄りのせいか。いずれにしろ、県の施策の浸透度が問われることは間違いない
▼自身を幸せではないとすることをいさぎよしとしない世代が回答率から漏れてきている可能性はないか、なども調査の目的からは外れる分析かもしれない。何のための調査か、改めて気にはなる。