2020年5月26日(火)

▼夏場所を中止にした大相撲が7月場所を目指して模索を続けているという。ぶつかり稽古をする新大関・朝乃山の写真が掲載されているが、撮影は「4月」とある。接触ある稽古が4月上旬から自粛で、5月上旬に各師匠の判断に委ねたと伝えるが、土俵を見守る力士らも特に間隔を開けているようではない

▼春場所を無観客相撲にして、記者との会見も距離をとって実施。消毒の徹底や周囲との接触を避けるなど、細心の注意をしていたはずの角界で、高田川部屋の親方ら6人が感染したのはぶつかり稽古の自粛などを指示した直後。28歳の勝武士が5月に死去したのは衝撃だったが、どこか抜けたところがあったのかもしれない

▼日本相撲協会の八角理事長が「力士らしく粘り強く耐え、最後まで病気と闘ってくれました」。異論はないが、強じんな体と強い精神力の持ち主の力士が―という解説には首をかしげた。「食うのも稽古のうち」として体に詰め込むように食べ、太るためにすぐ寝るなど、小兵力士の苦労話はよく聞く。不健康な体づくりをよしとする生活は糖尿病を職業病とさせ、勝武士もそうだった

▼相撲部屋名物のちゃんこも各自、皿に盛り付けて食べるなど指導しているというが、量はどうか。格闘技の中で相撲は四股、すり足、てっぱうの伝統の稽古が一番効果的とされるが、食生活はどうか

▼コロナ禍は社会の欠陥を気づかせてくれるといわれる。大相撲もとかくつきまとう短命の悲劇を繰り返さないため、食生活改善を進めるべきではないか。ついでに、社会のグルメ偏重も一考あっていい。