伊勢新聞

2020年5月23日(土)

▼珍しいことも、あればあるものである。県教委がネット書き込みの監視について公式の場で語るのは10年ぶりに近い。新型コロナウイルス感染者などへの中傷などが懸念されるため、臨時でネットパトロールの期間を追加したという

▼平成21年度以降、県教委は年3回、平日の15日間、業者に委託して書き込みを監視してきたというから不明を恥じるが、当時のことは覚えている。前年に神戸市で学校裏サイトに書き込まれたいじめが原因で高校生が自殺し、文部科学省も調査。県教委も東京の業者に委託して監視を始めた

▼調査結果が出るたび発表していたが、伊賀市の学校で深刻な書き込みが急増、という報告で、同市が検証した結果、同名の九州の学校の誤りだった。県教委は訂正しなかったが、前後して調査の発表もしなくなった。3年後に委託打ち切りを明らかにしたが、業者を変えて継続していたらしい

▼学校裏サイトは今はパスワードが必要など、検索では出てこない仕組みになっていて、監視はひところより困難。また会員制交流サイト「SNS」や短文投稿サイト「ツイッター」などに取って代わられて発見は容易ではなく、先駆的取り組みをしていた伊賀市などもパトロールは中止した

▼「監視対象は公開された書き込みに限られる」(木平芳定教育長)中で「内容に応じて早い段階で対応する」ことなど果たしてできるのかどうか。臨時パトロールで報告された小学校7件、高校2件は、いずれも危険度は低いと判断したという。さもありなん

▼浮世離れしていて、いかにも県教委らしくはある。