2020年5月5日(火)

▼連休明けの6日まではと、大げさに言えば歯を食いしばって辛抱してきた自粛が、あと1日に迫ったところで5月末までに延長されることになった。無間地獄に落ち込んだ心地がするが、一気に解除になったあとの再燃が怖いし、一部だけ解除されて人が押し寄せられても困る。全国一律延長はもっともだからストレスをたたきつける対象がない

▼そんないらいらが、はけ口を求めて誹謗中傷やデマになるか。徳島県三好市は、県外ナンバーの車に乗る県民向けに「徳島県内在住者です」の画像を車にはるよう呼びかけた。投石などの嫌がらせ行為を受けることに対処するためで、「不安が和らいだ」と評価する声がある一方、差別助長行為の非難も。担当者は「差別の意図は全くない。冷静な行動をしてほしいとの意味」

▼中部電力の芦浜原発建設計画が進められていたころ、地元の旧南島町古和浦で威力を発揮したのが「原発反対の家」と書かれた札だった。玄関口にはられて一時、町を席巻。はっていない家は村八分にされ、子どもは学校でいじめられた。のち推進派が増え、攻守は逆転。札は、地元を二分した対立の構図の象徴でもあった

▼商店は当初「商売にならないから」と、もれなく札をはり、のち、どちらを選ぶか悩んだ。商店に限らず、賛否をあいまいにして地元で暮らすのは困難だった。札は住民の自由意思に基づく正当な行為として、やめようという声は行政からもあがらなかった

▼今は対立を激化させた要因と感じる住民もいるのではないか。少なくとも二度とごめんとみんな思っているに違いない。