伊勢新聞

2020年5月4日(月)

▼運動公園を歩いていたら視線を感じた。犬を連れて散歩中の中年男性がこちらを見ている。見覚えはない。何かなと見返したら、やおらポケットからビニール袋を取り出し、犬のふんの始末を始めた。見られたと思ったからの行動かどうかは分からないが、笑いがこみ上げた

▼「見てくれの袋を持って犬散歩」という川柳を新聞の投稿欄で見たことがある。犬のふん害に頭を悩ませた役場職員が、チョークでふんの回りに円を描いていったらピタリとやんだという話もある。そんな横着で素直な人々が善男善女の大半を占めているのだろう。向き合う行政も並々ならぬ覚悟がいるのかもしれない

▼共同通信社の都道府県知事アンケートで、新型コロナウイルス特措法に基づく権限について22人が「不十分」と回答し、うち8人は罰則規定に言及した。法律で明記してもらわなければ、権限を発揮しにくいということか

▼鈴木英敬知事も権限、国との協議のいずれも「不十分」。休業要請に応じないバーやラウンジが念頭にあったか。国との協議について「長い時間を費やせば、有効な措置も急速に陳腐化する」。私権制限で、陳腐化する措置を性急に実施していいかの問題もあろう

▼体育館も野球場も使用中止の運動公園では芝生にテントを張ってキャンプ気分を楽しむ家族連れなどでにぎわった。一角の児童遊具コーナーは全体にテープが張られ、さらに遊具一つ一つの出入り口、通路を綿密にテープで封鎖している

▼かいくぐる児童で密集状態になることを恐れたか、児童の命を守る愛情の発露か。明日はこどもの日。