2020年5月1日(金)

▼「風評被害が心配。施設は我々の憩いの場で、散歩などをしていたので痛手」としながらも「仕方がない。新型ウイルスが落ち着くまではどこかが協力しなければならない」―新型コロナウイルスの軽症感染者受け入れ施設の地元説明会での鈴鹿市御薗町自治会長の言葉だ

▼クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗船者を国の要請で受け入れた時とは打って変わった県の態度である。受け入れ人数、医療機関数とも「風評被害を避けるため」として大部分非公表の中に押し込めた。その結果、風評被害は起きなかったか。だとしたら、その成功体験が今回も引き継がれた気がしなくもない

▼愛知県で受け入れを決めた医療機関の場合、開院前の施設だったにもかかわらず、系列の開業医院といううわさが広がり、同医院の医療関係者の利用が多いとされる県内のゴルフ場が閑古鳥が鳴くことになった。風評被害を完全に封じ込めるのは難しいが、その拡大や予想もせぬデマは非公表、それも一部を伏せることで際限なく広がっていく

▼志摩市の施設で利用者が事前の体温測定で判明したケースでは、施設名を非公表したにもかかわらずたちまち周辺に不安が広がった。施設職員が丁寧に説明に回った結果、多くが納得し、あらぬ非難の気持ちを持ったことを恥じた。きちんと情報を公開して理解を求めれば、鈴鹿市自治会長のような理解を示す人が多いと信じたい

▼バッタは、過密など環境条件が悪化すると体つき大型に相変異し、大群の飛蝗となって穀物を食い荒らす。善良な人間を不安にさせ飛蝗にしてはなるまい。