伊勢新聞

2020年4月20日(月)

▼新たに3人感染で、県内の新型コロナウイルス感染確認者は35人となり、鈴木英敬知事は「感染者が短期間で急増したことに強い危機感を持っている」

▼じくじたる思いもあるか。豚コレラで効果があった感のある先手を打つ対策が、新型コロナには通用しなかった。最初の感染者が海外からの帰国者だったため海外渡航自粛の呼びかけをしたが、その時には大阪のライブハウスに参加した伊賀市民がすでに家族らへ、感染を広げていた

▼鈴鹿市で感染者の五輪メダリストが参加する練習会が開かれて8都道府県への移動自粛を呼びかけ、50人以上参加の屋内イベントを控える知事メッセージを出した。7都府県を対象にした緊急事態宣言を受けて再度、移動自粛を要請したが、新型ウイルスは先回りするかのように感染者を増やし、初の死亡者も出した

▼結果は後手を踏んだ。新たな3人は1人が死亡者との接触が疑われ、もう1人も感染者の家族だが、残る松阪市の診療所技師の感染経路の公表はない。今後予想される感染経路不明の増加に、知事の「接触者の調査に全力を挙げ、県民には接触の機会を減らしてもらえるよう強いメッセージを送る」という決意が、機能し、感染防止につながるかどうか

▼緊急事態宣言の全国拡大を受け、北勢地域の病院に外来患者が殺到した。薬を長期間分手に入れようとしたか、調剤薬局は混乱。「怖い」と死亡者の話をしながらマスクをしていない人も。職員が恐怖に震えた

▼「強いメッセージ」というよりは「効果的メッセージを」。少なくても、県職員は一丸になって―。