▼県庁が新年度に向けて人心一新され、職員は新たな意欲に燃えていようが、新聞記者としては、退職部長級対象の本紙企画『お世話になりました』が、現職当時には聞けなかった本音や事業への思いがうかがえて興味深い
▼新型コロナウイルスが広がる中「離任にじくじたる思い」と言う医療保健部長の福井敏人氏に共感した。「収拾のめどが立つまで携わりたかった」に、さもありなんと思い、特にさし迫った課題もなさそうなのに定年延長となる危機管理統括監との違いは何か、ちょっと考えてみたくなった
▼福井さんは伊勢副市長ポストが内定している。そのためというなら話半分には思え、それはそれで県職員らしくはある。長男の急死で張りを失ったという南部地域活性化局長の伊藤久美子さんの話も、ここ数年来の意欲的な仕事ぶりしか知らぬ目には意外で影の思いを垣間見る気がした
▼入庁当時は途中退職の女性が多く「定年まで勤め上げることが女性の地位向上につながる」と考えたという言葉に思い当たることは多かった。「入庁当時」というのは去りゆく故のつつましさで、今も変わらぬ気がしなくもない
▼女性管理職の割合は0・1ポイント増のささやかな結果が物語ってはいないか。男か女か予測しながら課長級人事を読むのが楽しいが、外れることはめったにない。知事好みの伊勢志摩サミット活躍組を除けば1人か2人。女性の数が少ない上に、裏方的仕事がほとんど
▼退職部長級で妻に触れたのは2人。ともに呼称は「奥さん」。男女共同参画社会の先導には、意識改革の余地がまだまだ少なくない。