伊勢新聞

2020年2月20日(金)

▼四日市市の米穀販売会社を巡る米の産地偽装が問題になっていたころ(平成25年)、県内JAから大阪の卸業者に銘柄と中身が違うコメが配送され、一部スーパーで販売されたという話があった。卸業者がホームページに謝罪文を掲載したと聞いた時にはすでに削除されていて、問い合わせても要領を得ない。指導したといわれた東海農政局三重統計情報事務所(当時)の担当官も守秘義務を盾に口を閉ざす

▼一歩間違えれば偽装と同じ結果となる。守るのは国民への安全な食糧供給の仕組みか、民間とはいえ公的存在のJAか、と大上段でたたみかけたら血相変えて怒り出した。行政指導は細部にわたって本省が指示している。われわれが何を言っても聞く耳を持たないんだ、と

▼三重労働局との懇親会で、障害者が最低賃金制度の除外指定になっていることなど、労働行政の疑問を話題にした流れで、本省から指示されたらそう動かざるを得ませんよね、と言ったらキッとした口調になった。本省からどんな指示がこようと、自分たちは法にのっとり職務を遂行するまでです

▼学校法人「森友学園」を巡る決裁文書改ざん事件で、自殺した夫の元近畿財務局職員の手記を妻が公表した。事実に反するなどと反論(異論)しないのが本省と地方の関係、キャリア制度としながら、財務省理財局からの複数回の修正指示に「私はこれに相当抵抗しました」とある。想像を絶する重圧を思う

▼「最後は逃げて近畿財務局の責任にするのでしょう」とも。絶望の闇の前に立ちすくむ姿が浮かび、暗たんたる気持ちにさせられる。