2020年2月14日(金)

▼新年度の県当初予算案の命名は「令和の礎と針路予算」という。新時代の礎になる予算で、未来に向かう針路ということか。平成から令和への年号切り替えで初めてという位置づけに新味を託したのかもしれないが、それ以外は当たり前、基本を踏襲しましたということだろう

▼昨年の命名が「深根固柢」。「基礎を固める」という老子の言葉だった。より分かりやすい言葉に置き換えたかとも見える。何しろ、新年度の組織改革は「スマート改革」を強化し、予算案では、鈴木県政の目玉の「防災・減災」関連の筆頭が「Myまっぷラン+(プラス)による避難計画策定支援事業」。事業名だけ聞いても中身はちんぷんかんぷんで、そんな施策の増加を緩和する意図もあるのかもしれない

▼景気悪化で大幅に落ち込んだ平成15年度後の当初予算の命名は「緊褌一番」「奮励努力」だった。それに伴い財政難が深刻化し、翌年は「安心なくして希望なし」。小泉改革の「構造改革なくして景気回復なし」をもじって県民に言い訳しているみたいな気がしたが、昨年の「深根固柢」で再び自信を取り戻した感。今年は散文的で、思いが錯綜してまとめきれなかった印象もある

▼定年退職などで職員が減少し、人件費は4年連続減少。児童生徒減に伴う教職員減も含まれているのだろう。代わって、県はAI(人工知能)など駆使する「スマート改革」に、教員現場はICT(情報通信技術)環境へと突き進む

▼そうせざるをえない道へ薄氷を踏むかのようだが、県は確固たる信念で、ベストの選択をしているつもりに違いない。