▼「筆者の周りでも、家にテレビを持たない人が増えてきた」という本紙『株式展望』での岡三証券投資戦略部、小泉めぐみシニアストラテジストの記述にはやはり驚きを禁じ得ない
▼一家に一台から一人一台になって、テレビが家族団らんの中心ではなくなったが、それとともに、人気番組を見ておかなければ学校で話が合わなくなるという仲間意識醸成の役割もネットサービスにその座を譲ってしまったということだろう
▼「数十年後には、従来型のテレビ放送は固定電話のように主流ではなくなる」との見立てが、動画配信サービス最大手の米ネットフリックスによるとはいえ、テレビとしては心穏やかならざることに違いない
▼「うちのゼミで新聞を取っている学生はいない」と大学教授に言われたのは10年以上前。新聞の深刻さはテレビの比ではないが、かの大学教授は「みんなネットで読んでいる」と続けた。媒体が紙から電子に変わったが、コンテンツそのものが見放されているわけではない、という解説がわずかな慰めである
▼テレビはどうか。ネットフリックスは「独創的なオリジナル番組で世界中にファンを増やしている」と小泉シニアストラテジスト。独自コンテンツが生き残りの生命線となるため、今後は「コンテンツの囲い込み・奪い合い」がし烈になるという
▼テレビ各局は似たようなコンテンツで競争し、ここしばらくはお手軽なお笑い関係番組全盛。新しいジャンルの開拓がなかった気がする。勝ち組はコンテンツ制作に莫大な予算を充てる企業という予測だが、それもまた、退屈な気がする。