伊勢新聞

2020年2月6日(木)

▼新型コロナウイルスの感染が確認された50代男性について、県が行動歴を発表した。「不安解消し、県民に自主的に対策を取ってもらうため必要な情報は積極的に公表すべきと考えた」(鈴木英敬知事)。県「独自の判断」という

▼「今大体、次あったらどういうふうにするかっていうのを整理をしたところです」と語ったのは、昨年1月に50人超のはしかの大流行を招いた時の知事会見。宗教団体の研修会を個人情報保護を理由に「民間の研修会」と発表するなどで、混乱や感染拡大を招き「大変申し訳ない。公表の仕方は議論しても良かった。反省点」などとした上でのことだった

▼あの時の「整理」はどうなったのか。「必要な情報は積極的に公表すべき」とはいまさらのような気もするが、あれははしかで、今回は別と言うのだろうか

▼はしかで整理したはずの「県民への注意喚起のあり方」も今回、特に変化を感じないが、個人情報保護の観点から情報制限し、対応のお粗末で交通経路などの公表を余儀なくされていく道筋は、共通しているようでもある

▼「ヒトからヒトの感染は限定的」とした中国当局の当初の見通しは外れた。中国・武漢市のツアーを乗せた奈良県の運転手が感染したが、乗客に感染者は確認されていない。複雑怪奇なウイルスの感染経路であり、県医療政策総括監の「感染の心配には及ばない」の言葉が、誤った情報を伝えたことにならなければ幸い

▼「必要な情報は積極的に公表すべき」の考えを聞くのは二度目の気もするが、二度あることは三度あるようなことになりませんように。