伊勢新聞

2020年1月26日(日)

▼北川改革で組織を階層なしのフラット化にしたのが事務処理ミス増の元凶だとして、県は先に係長ポスト復活を決めたが、今度は北川改革で一部試みて立ち消えになった固定席の廃止を本格導入するのだという

▼最新技術で業務の効率を高める「スマート改革」チームが近く提言する「オフィス改革」の一環。「当時より技術は進歩している」のが一度捨てた策を拾い直す理由という。タブレット端末などIT機器が使いやすくなったことが、その「技術の進歩」ということらしい

▼進歩的考え方をものにできなかったのは、当時繰り返し求められた職員の意識改革が結局中途半端だったからではなく、技術が追いついていなかったからだと言いたいようだ。鈴木英敬知事の指導よろしく、職員がみんな楽天家になったのはご同慶の至りだが、しょせん北川改革のアイデアをああだこうだと言う以外のものはでてこないということでもあろう

▼北川改革の「フラット化」は、それまで机の中に資料などため込んで仕事を一人で囲い込み、ほかの職員が代われない弊害をなくすことが目的だった。係長廃止もその一環で、誰もが互いの仕事が分かる風通しのよい職場がうたわれ「資料の共有化」が進められた

▼先の係長復活では「フラット化」が一人が仕事を抱え込む原因になったみたいな話。いなくなったら何を言われるかわかったものではない。要は職員意識は何もかわらなかったということだ

▼フラット化で職場の間仕切りを取っ払った。固定席廃止で個々のつながりを取っ払う。事務処理ミスがますます所を得なければ幸い。