伊勢新聞

2020年1月24日(金)

▼県の新年度予算編成に関する知事査定で毎年、鈴木英敬知事の発言にうならせられる。今年は業務見直し対象の県営松阪野球場について「三重とこわか国体・大会の開催競技に支障がないのが大前提」のコメントにうなった

▼県有施設見直しについてであり、予算査定とは違うのだろうが、辻日出夫国体・全国障害者スポーツ大会局長の「松阪市は受け入れが困難なため、引き続き県営施設として存続する」の報告にも驚いたが、市営か県営かが国体・大会への支障で決まるのかとあ然としたのだ

▼見直しについては、県は「基本的な考え方」の中で目的、時代のニーズ、利用度などの視点で、県関与の必要性を検討すると記している。松阪市が受けるかどうかは、その結論が出たあとの選択肢だろうが、辻局長報告は〝お荷物〟を押しつけ合っている趣がある

▼松阪球場については、見直しの協議とは別にスコアボードの電光掲示板改修予算の査定がある。とこわか国体・大会の支障の有無が「大前提」という知事発言はそれに対してかもしれないが、「大前提」というなら一過性のイベントのためというより、県民の利便性ではないのか

▼松阪球場は長く管理は市任せで、今は県体協が指定管理者。「必要最小限の補修にとどめてきた」「各地の球場と比較すれば確かに見劣り」などの辻局長の議会答弁は、県が施設の将来を考えたことがあるか首をかしげさせる

▼県スポーツ推進条例は県民の健康や子どもの健全成育、地域づくりなどへの力の結集を目指すとしている。改修も国体・大会開催も、そのための手段である。