伊勢新聞

2020年1月21日(火)

▼小泉進次郎環境相が育児休暇の取得を表明したことについて、テレビの街頭調査では9割近くが賛成だったが、ネットでは賛否が拮抗していた。マスコミや評論家はおおむね賛成で、政治家は冷ややかとも報じられていた。建前と本音、ということか

▼鈴木英敬知事が本紙政経懇話会で「閣僚による史上初の育休だから批判があるのは当たり前」と言っていた。慧眼。小泉環境相の育休宣言に間髪入れず「全力で応援する」とぶら下がり会見で。かねてから相談を受けていたとも明かしたからパフォーマンス・ブラザーズという気もしたが、批判の盾になるという意気込みだったか

▼第一子誕生で育児休暇を取り、イクメン特別賞を受賞した知事だが、批判は「僕も言われた」という。この時は5日間のうちの計3日間の取得だったが、第二子では、第一子の保育園への送り迎えなど、勤務時間調整のバリエーションも取り入れた。形から実効へ進化させたが、取得に当たり「公務優先」「何かあったら公務に行くのが前提」など、くどいほど公務を強調したのはそのせいか

▼海外視察などでは何があろうと副知事以下が対応する。誰にとっても大切な子育てだが、公務に比べまだまだ位置づけは低いということだろう。少子化もむべなるかなだが、自分らは超多忙の中で工夫したという体験も特に女性、一部男性にはあるかもしれない

▼「育児に参画する姿勢を見せ続けることが大事」とも。超人的努力をしなくても楽に育児ができるというのが男性の育休取得の意義で、日本人の意識改革の好機との思いがあるに違いない。