伊勢新聞

2020年1月19日(日)

▼「大事なことは採用されなかった事業の提案や意見をどう生かしていくか。各課の施策などに反映させるなど、今後の参考にしてほしい」―県民参加型予算(みんつく予算)の投票結果を受け、鈴木英敬知事が職員に指示した。神は細部に宿るということか

▼「県民とのパートナーシップ」が年頭訓示の主テーマ。229件の提案が寄せられ、採用事業選択の県民投票者数2501人という結果は、心強い数字として知事の脳裏に刻まれているに違いない。投票数が少なかった提案者も、多かった提案者と同様、事業継続とパートナーシップ確立のカギとなる

▼提案事業と投票結果との微妙なずれも気になったのかもしれない。提案された事業で最も多かった「若者が地域で活躍するための方策」は、投票では選外となった。提案で2位だった「避難行動の促進」は、投票結果一位の「みんなでつくる避難所プロジェクト事業」と同分野ではあるが、避難を促すことと快適な避難所運営とでは目指す方向が違う気がする

▼提案3番目の「海外誘客の促進」と得票数2位の「映画で知ろう!みえで活躍する外国人住民事業」も、同じ外国人対策には入るにしても、同床異夢程度の違いはあろう。アイデア募集への応募者は独創性を意識するのに対し、意見募集やアンケートはその時々の話題、課題に影響される

▼同じ県民の声であっても、提案と投票には、視点の違いがあろう。採用されなかった事業を施策に反映せよという知事の指示は評価できる。どちらも、県施策の弱点を突いていることでは共通しているのだから。