2020年1月13日(月)

▼日産前会長のカルロス・ゴーン被告のレバノンでの記者会見について、新聞で唯一出席を許された朝日新聞をはじめ日本のマスコミはおおむね批判的だったが、逃亡劇に対する鈴木英敬知事の見方は「日本の司法制度に対して大いなるチャレンジをされた」。検察の主張を報じる立場と、経済官僚出身者との違いかもしれない

▼被告ではないが、司法を含めて日本の社会に恐怖して逃げ出した著名な経済人としてはオリンパス事件で解任された英国人社長、マイケル・ウッドフォード氏がいる

▼年間定期購読制月刊誌が報じ、自身も疑惑を訴えた粉飾決算事件に司法、マスコミは無反応。取締役会では総攻撃され退任を迫られた。日本の闇社会を牛耳るマフィアが背景にいて、英国の妻子を含め命の危険があると感じ、会社から成田空港へ直行した

▼民主党代表だった小沢一郎氏の政治資金収支報告書虚偽記載事件でも、当初は検察の次期総理候補つぶしの見方があったが、次第に犯行一色になった。東京地検の捜査報告書こそ虚偽だったが、報道機関は事件の経過の中では、捜査当局の言い分のスクープに全力を上げることで定評がある

▼日産の内部抗争に検察が協力、の報道もあったゴーン前会長の事件も”人質司法“が長期に及ぶに従い、同じ軌跡をたどった。経済事件の量刑の軽い日本の司法での”人質司法“は中国でスパイ容疑、フィリピンで麻薬容疑で逮捕される感覚を味わったとして不思議ではない。できるなら逃げだそうとするに違いない

▼外国人にとって日本の司法は公平でも公正でもないのかもしれない。