伊勢新聞

2020年1月8日(水)

▼安倍晋三首相の神宮参拝で、鈴木英敬知事が「総理はスーパー晴れ男ですね」と話すと笑顔だったという。そんなやりとりを紹介する知事の表情は、新聞の写真では笑顔に見えるが、複雑なようでもある

▼第一次安倍内閣で官邸入りしていたという知事と首相の間柄は想像するしかないが、首相参拝後の知事の言動は何しろ油断できない。「県民の声をよく聞いて」とか「熟慮中」として自身の進退を慣例の一昨年9月議会に表明せず、12月議会もスルーし、三選出馬表明したのは年が明けた昨年1月17日だったのは記憶に新しい

▼一昨年最後の会見だった12月26日、進退表明のタイムリミットを問われ「設定する性質のものではない」。知事選直前の3月というわけにもいかないのではと二の矢を放たれても「まあ中身と時期を含めて熟慮します」とそっけなかった。反論するぞの気構えさえうかがわせた

▼年が明けて1月7日の会見。「しかるべき時期に最終判断をしていくことになる。今日はまだお示しするタイミングにないというふうに」と風向きが変わり、17日の議会での表明となる。思えば、関係閣僚会合誘致から主要国首脳会議開催地への立候補に転じたのも平成27年の1月21日だった。首相の神宮参拝を挟んで、知事の大きな政治的決断が生まれている

▼偶然かもしれないが、偶然でかたづけられない仕事ではある。けむに巻くのも磨きがかかってきたと感じるのもそのせいだが、年内解散の見方がある中で神宮参拝後の首相とは「天気が良かったことについて話した」。ん、雲行きも?