2020年1月7日(火)

▼統合型リゾート(IR)で国会議員が中国企業関係者からの収賄容疑で逮捕され、別に4人が事情を聞かれたが、県内にも懸念が広がっている。県は「IRのイメージが悪くなる」、桑名市商工課は「IRはカジノそのものという認識が強調されてしまうのでは」

▼えっ、IRのイメージはよかったのかと思い、カジノそのものではなかったのかと戸惑う。IRからカジノを除いた構想にはいささか覚えがある。昭和62年に全国の自治体を狂奔させたリゾート法(総合保養地域整備法)で、県の「三重サンベルトゾーン構想」は全国トップで法適用第一号に指定された

▼結果は、惨たんたるもの。西武グループの志摩芸術村構想は土地売買契約の不履行で長く争い、鳥羽の汐入ガーデン構想は、参加した一流企業十数社が逃げ足を競って散った。国会議員も議員連盟に多数参集したが、その中心だった野呂昭彦前知事に当時を振り返ってもらうと、正当性を主張して語気が荒くなった

▼国中熱に浮かされたみたいだった中で、腐臭を感じなかったのは、今思えば長期保養でライフスタイル改革という豊かな人生、健全イメージがスローガンだったせいかもしれない

▼その失敗がカジノを呼び込んだとすれば、リゾートの変質である。国内一流企業から中国など外国企業へ。参集する企業の違いも、そのことを際立たせる。候補地も、最も広かったサンベルトゾーンの域外だ

▼研究・調査にどんなに「ニュートラル(中立的)な立場」を強調しても、かつてのリゾートから見れば、始めから偏っている疑いは消えようもない。