伊勢新聞

<1年を振り返って>新名神や中勢BP開通 道路ネットワーク大変化

2月17日に中勢バイパス鈴鹿・津工区(約2・9キロ)、1カ月後の3月17日に新名神高速道路の県内区間となる新四日市JCT(ジャンクション)―亀山西JCT間(約23キロ)が相次いで開通し、県内道路ネットワークが大きく変化した。

新名神の開通に合わせ、鈴鹿市山本町にスマートインターチェンジを併設する鈴鹿PA(パーキングエリア)「ピットスズカ」も開業。館内3カ所に地域連携スペースを設け、市に無償貸与している。

同スペースを活用し、市は伝統産業の伊勢型紙や鈴鹿墨、「モータースポーツ都市宣言」を掲げる市をアピールするF1マシンを展示。地域資源活用課の岡田和之課長は「市の特色を知ってもらうきっかけになるし、特産品を常設できる場所があることは大きな意義がある。市に親しみを持ってもらい、ふるさと納税の税収向上につながれば」と話す。

また市は4月、同市安塚町の障がい者アグリ人材センター、桑名市の中日本高速道路名古屋支社桑名保全・サービスセンターと、「鈴鹿PAを活用の場とした就労支援関する協定」を締結した。

1カ月単位で障害者就労支援事業所を交代し、週2回の清掃作業や花壇の水やり、月1回の物品販売に取り組む。障がい福祉課の北川清美課長は「たくさんの人から声をかけられることが、利用者のやりがいにもつながっている。障害者の働く姿を見ることで雇用促進にもつながれば」と語る。

9月2日、末松市長は鈴木英敬知事との一対一対談で、新名神の県内区間が全線開通し、中勢バイパスが松阪市から鈴鹿市までつながり、物流機能向上や定住人口拡大につなげる市の取り組みを説明。工業用地としての発展が期待できる鈴鹿PAスマートインターチェンジ周辺の地域活性化に向け、県開発審査会の承認が必要な市街地調整区域の許可基準見直しや運用指針緩和などを要望した。

鈴木知事は「市の都市マスタープランに位置づけていくことで今後の協議が可能ではないか」と助言した。

同月22日には北勢、中勢の両バイパスを結ぶ「鈴鹿四日市道路」の新規事業化、早期建設促進を目的とした建設促進期成同盟会が設立された。同同盟会は鈴鹿市、四日市市の行政、市議会、商議所、関係企業、地域代表の23人で構成する。

鈴鹿四日市道路は四日市市采女と鈴鹿市稲生町をつなぐ延長約7・5キロメートルの国道。県で都市計画決定に向け手続きを進める高規格道路「鈴鹿亀山道路」の起点にもなる。

会長の末松市長は「安定した経済活動、安全・安心な生活環境を確保するためにも、本同盟会が一丸となって鈴鹿四日市道路の新規事業化、計画的な整備の促進に向け国への要望活動にますます力を入れていく」とあいさつした。

10月16日には「鈴鹿四日市道路で広がる地域の可能性」をテーマにシンポジウムを開催。11月13日には国に令和2年度新規事業化の要望活動を実施した。

スマートインター周辺地区の活性化を目的とした産業団地の形成を図るため、計17・7ヘクタールの地権者55人でつくる「鈴鹿PAスマートIC周辺都市区画整理組合設立準備会」は現在、事業認可の手続きを進め、今年度内に組合設立を目指す。市産業政策課の長谷川徹課長は「インターチェンジができたことで交通アクセスが良くなり、市のポテンシャルが高まっている」と話した。