伊勢新聞

2019年12月21日(土)

▼確か福島原発事故検証委員会の委員の講演だったと思う。自分の主張を譲る委員はいないそうだ。なまじ調整しようとすると「こっちは命がけで発言しているんだ」と烈火のごとく怒りだす。公開の会議だから現実に危険を感じることも多いのだという

▼県の会議が原則公開となったのは北川改革からで、公開度日本一にもなったが、半世紀を経て透明度は落ちてきた。「ざっくばらんに意見交換してもらうため非公開とします」という事前の断りが有識者などの会合に増えた気がする。当然だろう。命や責任をかけて公的委員を引き受ける胆力のある人間がそういるはずはない

▼「県産材利用促進条例」(仮称)を制定する県議会が、中継はなく、議事録も概要にとどまる「検討会」を組織して中身を協議するという。中継や議事録を残す「特別委員会」方式との間で意見が割れ、中嶋年規議長が「これまでも検討会を活用して議案を作ってきた」として、検討会に軍配をあげたらしい。議員にして、そうなのである

▼「分権時代を先導する議会として、県民起点に立ち、積極的に議会改革を推進」―が中嶋議長のあいさつだが、やれ議会報告会開催だ、やれ「議会だより」充実だなどは「ほとんど改革効果を何らもたらしていない」というのは元総務相の片山善博氏だ

▼「住民への開かれた議会」というのは中嶋議長と同じで、そのための広報機能の充実も同じだが、中嶋議長が決まったことの発信が中心なのに対し、片山氏は審議の通知を詳報し議会に的確に訪れてもらう工夫をすること

▼検討会では発信のしようがない。