伊勢新聞

2019年12月18日(水)

▼またも鈴木英敬知事が予算要求内容に「よく分からん」と言い放った。PR動画発信事業で「これまでのように一過性にしない。何度も使用できる動画で、メディアへの提供も」という戦略企画部のアピールに知事は「メディアへの提供目的か」と意義を問い、再説明に「分かるようで、分からない。どちらかというと、分からない」

▼言っている意味が分からないのか、そんなことを考える思考パターンが分からないのか。後者ならば、同床異夢程度の共感はある

▼何しろ、戦略企画部と言えば、県広報はデータ放送の時代だと言って議会など大方の疑問を押し切ったが、利用率低迷を理由に廃止した部門。定期監査報告書に何の言及もないことを議会に問われ、当時戦略企画部長だった代表監査委員が「県が見直したことを評価して言及していない」などと説明し紛糾した

▼県の3部門の部長職を経て定年。社会福祉協議会の常務理事を3年務めて離職後3年がめどの再就職期間をクリアして監査委員に就任したトップ級の人材。事業の失敗などたやすく認めない職員体質を如実に物語る

▼「一過性で瞬間的な動画にはしない」と戦略企画部長が言い切ったら、たとえ失敗したと思っても最低3年間は続けるに違いないと思うのである。PR動画も県広報の一環。作品の質と県内外にアピールするかは別物で、PR効果を発揮できる決め手はない

▼コンテンツ次第だが、メディア戦略や飽きさせないために目先をいかに変えるかも大切になる。始めから手足を縛ったような企画は、確かに何を考えてるのか「分からない」。