伊勢新聞

2019年12月14日(土)

▼医師不足解消へのスピードが遅いのではないかと議会で問われ、東北各県と比較し「県はかなりのスピード」と福井敏人医療保健部長が答え、比較する問題かと不興を買ったという

▼医師充足率がまずまずという県医師会の昨年を調査を見て、改善されているようですねと尋ね、同会理事から「他県と比べたら、という話です」と、厳しい口調で言われたのを思い出す

▼「医療従事者は医者だけではない。看護師なども含めると全然だめ」。回答の中身は同じでも、県と医師会とでは受け止め方に天地の開きがないか。福井部長は「臨床研修制度を始めた頃は60人ほどだった臨床研修医が倍増している」とも。野呂県政最後の制度。医師不足で救急医療に支障ができ「みえの地域医療を守る緊急メッセージ」発表とともに研修資金を貸与する制度として発足した。危機的数字と比べての倍増は、胸を張れることかどうか

▼同時期、三重大医学部に県内勤務を前提にした地域枠も設けた。「守らない卒業生がいる。罰則はないし」と医師会理事は。貸与金支給者の方はどうか。併せて調査し、改善策を急がねばなるまい

▼守らないのは不誠実だけではなく、高度な医療技術を学べる病院が少ないのも理由という。医師のキャリアアップになる医療現場づくりは各制度とともに取り組んできたはずだが、1月の厚生労働省の調査では、医師充足状況が全国34番。それまでは人口10万人当たりの医師数で36番で「少し改善が見られているのかなあ」と鈴木英敬知事

▼福井部長の受け止め方は、それともかなり違う気がする。