▼「それを言っちゃあ、おしまいよ」と「フーテンの寅」さんなら言ったのではないか。米海兵隊の輸送機「オスプレイ」の再飛来について、県防災対策部は「訓練の実施はやむを得ない」。が「十分な安全確保と情報提供を求め要望書を提出する」。順番が逆ではないか
▼事故の相次ぐオスプレイである。米側は日本に機械的不具合や設計上の欠陥はなかったと説明しているが「十分な説明がなされたとは言えない」として「受け入れることはできない」と決議したのは全国知事会だ(平成24年)。決議は7月の知事会でも継続された。県としても、まず十分安全が確認できて、はじめて「訓練の実施はやむを得ない」となるのではないか
▼二度目の飛来である。前回は、万全の安全対策と、最大限の情報提供を要望した。結果は「十分な周知、説明がされていない面も見られた」(2月20日県議会、鈴木英敬知事の答弁)。安全確保を再び要望しなければならぬ状況で、伊勢市は「市民の不安は払拭されていない」。9カ月間で何も変わっていない
▼知事は騒音レベルや要望への対応を検証して、今後に備えると議会答弁した。検証結果や今後の方針についてその後公表はないようだが「伊勢市の意向を踏まえる」とも。にもかかわらず、市のような抗議の文面については、県防災対策部は「予定していない」。虚偽答弁にならぬか
▼常態化について知事は前回、可能性を否定していたが、要望書には避けるよう求めた。短期間での国の態度急変や手のひら返しの恐れは我が身に照らし、県も警戒しているに違いない。