2019年11月15日(金)

▼閣僚2人が公選法違反絡みで辞任し、萩生田光一文科相の「身の丈発言」で英語民間試験の見送りにつながった。総理大臣主催「桜を見る会」で安倍晋三首相へ飛び火したと見るか、森友・加計問題に始まった不祥事・疑惑がざっと一巡して安倍首相へ戻ってきたと見るか

▼首相後援会事務所が招待者の取りまとめをしていた。公選法違反も視野に、首相の国会答弁との食い違いが問われる中で、内閣官房の担当者は野党のヒアリングで、同事務所の推薦を認めた上で「本人はご存じなかった可能性がある」。仮に本当だとすると、官僚機構が公費で政治家の後援会活動を実質支援したことになる

▼森友問題では、財務省の文書改ざん事件だけではなく、安倍昭恵首相夫人の意向として各省庁に働きかけていたのは経産省から派遣されていた職員だった。加計問題では「総理のご意向」なる方針を、内閣府が文部科学省担当職員に伝えていたと、前川喜平元事務次官が語った。政権のあきれた実態が表面化するたびに黒子のような官僚の動きが見え隠れする

▼菅義偉官房長官が「桜を見る会」の招待客選考に問題があると認め、見直し、中止へと踏み込んでも、内閣府は「適正」の態度を変えなかった。そんたくを含め、省益、保身などの言葉が浮かんでくる。県議会の出前講座アンケートで、議会事務局職員が回答内容の書き換えを依頼した

▼議長と事務局長が「コンプライアンス意識に欠けた言動」とそれぞれ非難、陳謝した。こちらは、そんたくか事務局益か保身か。職員気質としてはそれほど異質というほどではない。