2019年11月8日(金)

▼県内企業の景況感が3カ月ぶりに大幅悪化したとする民間信用機関の景気動向調査の発表に合わせたように、県は職員の賞与を引き上げる県人事委員会勧告の受け入れを決めた

▼特に中小・零細企業が落ち込んでいる中での6年連続の引き上げ。間の悪さだけに責任があるわけではない。消費税率アップが1日から施行され、景気悪化が予想されている。県民一人一人が不安な気持ちの真っただ中のタイミングであることに想定できたことだが、事実上自動的に給与があがる制度を淡々と行使した

▼公務員と言えば「薄給」が代名詞だった時代に労働基本権と引き替えにできた制度が現代に合わなくなってきているのは人事院廃止法案が提出されることでも分かる。一体どんな企業と比較しているのか、首をかしげたくなる毎年の判で押したような引き上げ勧告だが、勧告が「0・04月分(民間が)多かった」というのに、県の引き上げは0・05月分というのは、どんなそろばん勘定か

▼管理職は「財政健全化のため」平成29年度以来の減額措置を続けるというのも、取りやすいところから取るという行政の体質が透けて見える気がする。「県財政の健全化に向けた取り組みの成果は着実に現れてきている」と鈴木英敬知事。命を守る「横断歩道塗り直し」の県警本部予算請求に「緊急に必要とはどういう基準か」と知事も声を荒げたことがある。緊縮財政が県職員の決まり文句で、要望には「財源難でとてもとても」

▼財政悪化にして健全化へ。当然のことで、しわ寄せを受け続けた県民が、いい面の皮という気はする。