2019年11月6日(水)

▼AI以前の問題として「ペーパーレス化」を求める県議会に、紀平勉総務部長が「ペーパーレス化が目的ではないが、AIなどの導入によって結果的に紙は削減されると思う。スマート自治体を構築する中でペーパーレス化も検討したい」。AI以前とは考えていないということだろう

▼議会ばかりではない。「スマート改革」を提唱しペーパーレス化を促す鈴木英敬知事の方針もシャットアウトした格好だ。ペーパーレス化も古くて新しい問題。急激に進めたのは北川改革である。会議の配布資料をまず全廃しようという勢いだったが、尻すぼみに終わった

▼「電子県庁」がそのころ北川正恭知事(当時)の掛け声だったが、パソコンの習熟度は今よりはるかに劣る。掛け声ほど庁内は結束していなかったということだろう

▼今は温暖化防止が社会の正論だが、当時は木材資源の節約だった。割り箸の回収など、今や跡形もない運動が席巻し、紙資源を無限に消費する行政機関は批判の的。AI導入のスマート自治体で職員の働き方を変えるという内向きの要請ではなかった

▼失敗の原因は小手先だけの改革で、文書保存期間をはじめとする法令の改革にまで踏み込まなかったからだ。記録は文書で残すことが法令で義務づけられている以上、削減幅は限られてくる。分類はあいまいになり、元のもくあみになっていった

▼先のペーパーレス化の講演後、知事は「具体的にどう取り組むか。いきなりすごいことをやるのではなく、小さいことの積み重ねが大事」。恐る恐るということか。確かに戻りバネの方が強い気はする。