伊勢新聞

2019年10月27日(日)

▼「三重に住む人や三重が故郷の人、三重が好きな人などがいつでもどこでも県の情報を手軽に入手できるようになる。三重に愛着を持ち、三重を身近に感じてもらえるようにしたい」。鈴木英敬知事がいつものように高らかにラッパを吹き鳴らす

▼日本最大のスマートフォン向けニュースアプリ「スマートニュース」で県公式情報を発信したことに対してだ。滋賀、兵庫両県に次いで都道府県で三番目というのがどんな意味を持つかは分からぬが、何となく気持ちは高揚する。惜しむらくは、三重への愛着や身近に感じることと県の公式情報を見ようとすることが必ずしも一致しないことだ

▼県はすでに短文投稿サイト「ツイッター」など八つのネットサービスを使って公式情報を発信してきた。その結果はどうだったのか。明らかにされぬまま新サービスが一つ加わる。何が何だか分からなくなる心配はないかはともかく、スマートニュースの利用者約2千万人という多さや、電波の届かない場所でも過去のニュースを閲覧できる利便性などは、県公式情報を閲覧することと基本的に関係あるまい

▼大雨で避難指示や勧告が出た19日、県のホームページ「防災みえ.jp」が約一時間閲覧不能になった。影響があったという話は聞かないが、先の県定期監査でも県民が防災情報を入手する割合は25・4%。目標の26・5%に届かず、機能やコンテンツの充実を求めている

▼データ伝送への転換を図った県広報紙もあえなく挫折した。三重に愛着を持ち、三重を身近に感じてもらえるような公式情報への工夫が第一の気がする。