伊勢新聞

2019年10月25日(金)

▼「県民の信頼を著しく損なう重大な事案が引き続き発生」と再発防止を求めた定期監査報告に、県議らは全員協議会で「聞いたことのある総括ばかり。監査委員ならではの指摘は」の質問。アコヤガイの対応を監査しなかった理由を問う

▼山口和夫代表監査委員が「監査委員の新たなアイデアというより現状を評価している」。アコヤガイの対応を監査しなかった理由は「監査対象を絞った結果」

▼何ともギスギスしたやりとりではないか。代表監査委員が担当部長だった「データ放送」事業が廃止なったのに何も触れなかった一昨年の報告で、議会に監査委員への不信感が芽生え、罷免騒ぎにまでなったことをひきずっているのかもしれない

▼議会と監査委員が対立したことがなかったわけではない。県庁を揺らしたカラ出張事件で「みんなグルだった」と言われた議会と監査委員だが、とりわけカラ出張発覚の部門だったのが監査委員事務局の信頼は失脚。以後その回復に努めて厳しい指摘を連発。その最初が議員野球やゴルフコンペへの補助金停止だった

▼「他県の議員と懇親することで調整能力が発揮できる」と強く反発する議会に対し、公務ではないと監査委員は一蹴。こうした指摘こそ監査の役目と当時の代表監査委員は一歩も引かなかった

▼「住民監査請求をいかにうまく却下するかが主務」と陰口を利かれていた監査委員が一変した。今は「重大な事案が発生している」と鬼面人を驚かすだが、執行部が明らかにしたものばかりで確かに肩すかしの感。「現状を評価している」のだという。元のもくあみ感も。