伊勢新聞

2019年10月23日(水)

▼「即位の礼」の22日、県は台風20号の接近に伴い、南部を中心に猛烈な雨に見舞われた中で明けた。伊勢湾台風60年の節目の年である

▼追悼の催しが各地で開かれ、鈴木英敬知事は「スーパー伊勢湾台風」への備えと、情報伝達が不十分だった当時の教訓で、多様な伝達手段の整備やハザードマップ、自治体の避難勧告の重要性が現在に生かされていると強調した

▼その予言通り「スーパー伊勢湾台風」が東日本を襲い、ある意味東日本大地震を上回る爪痕を刻んだ。県内はその予言と裏腹に、直撃を免れながらも被害は大きく、台風19、20号の間隙を縫うかのような大雨に、不意を突かれもした

▼まるで示し合わせたかのように、県のホームページの災害情報が約一時間15分閲覧できなくなっている。19号の被害甚大な神奈川県でも同種のアクシデントが起きている。避難指示や情報機器の不備は、県内自治体でもしばしば指摘されている

▼県ホームページの災害情報アクセス不能は影響が何もなかったからいいじゃないかという性格のものではあるまい。全国知事会危機管理・防災特別委員会委員長の地元として、スーパー伊勢湾台風を迎え撃つ都道府県の現状を象徴していると言ってはうがち過ぎか

▼平成は戦争の世紀とも言われた昭和の癒やし、平和への固い決意の具現化し努めた時代でもあった。令和はどうなるか。南海トラフの発生が確実視されてる。何十年、何百年に一度の異常気象が予見されている

▼高い理想と足元のきめ細かさが求められる。平和への祈りに劣らぬ困難な道が行く手に待ち構える。