伊勢新聞

2019年10月13日(日)

▼三重県がスペイン・バスク自治州と産業分野で連携する覚書を結んだ昨年10月、鈴木英敬知事は「同州と県は産業構造が似ている」。平成4年、姉妹提携を結んだスペイン・バレンシア州も、提携理由に「産業構造などの点において共通点が多い」ことを上げていた

▼農業州であるとともに近代的工業製品の産地で「県と就業構造が似ている」とも。「州の形状が県と似ている」ことも理由として公文書に記している。この際、関係するものは何でも寄せ集めちゃおうということだったのだろう

▼県のホームページにはもう出てこない「国際リゾート『三重サンベルトゾーン』構想」も、提携話には「スペインのリゾート地をモデルに開発が進められたことから関係が深まりました」と一役買い続けている。構想策定は昭和62年で少し計算が合わないし、モデルは南仏ニースに始まり、ラングドック地方など視察したが、構想の中に、今に残る近鉄・志摩スペイン村がある。もはやとがめる者もいまい

▼スペインとの交流は、民間の任意の友好協会のイベントにスペイン大使館の要人が出席することになり、藤波孝生元官房長官が懸念を伝えたことで、県が強引に取って代わった。協力関係などなかったから提携には民間の事情通などにも依存した

▼知事がバスク自治州へ5日間の旅。松阪への企業立地を契機に世界遺産の巡礼道「サンティアゴ・デ・コンポステーラ」と熊野古道とで覚書も結んで、文化芸術都市ビルバオ市で再生策を学ぶなど、目的は盛りだくさん

▼取って付けたような理由は―。今回は、ないに違いない。