伊勢新聞

2019年9月28日(土)

▼ああ、またも「県に障害者差別解消条例をつくる会」である。津市の障害者用事務職員募集案内に「点字や音声パソコンを用いた試験を行わない」など、実質障害者を排除する規定があるとして削除を求め、市の人事課長が「表現などをもう少し配慮すべきだった。必要な部分は改善したい」

▼拡大鏡やつえなど、試験当日の配慮事項希望を記入させながら「拡大鏡、つえを使用する場合は各自で用意してください」とも。配慮すべきは「表現などをもう少し」程度かどうかは異論があるが、欠陥が複数あるのは認めざるを得ないのだろう

▼障害者差別解消条例が成立したのは昨年6月。以来、県に数ある障害者団体の中で「県に障害者差別解消条例をつくる会」の活躍はめざましい。同9月に県教委の障害者雇用率水増しに抗議し翌10月、その改善のための障害者求人に「介助者なしに勤務ができる方」と記してあるのを「障害者差別」だと削除を求めた

▼今年1月にも県教委が採用内定者に身体検査書を提出させているのを内定取り消しをにおわせる実質障害者の締め出しと批判し、4月の県の組織改革では、障害者担当部門が障害者用トイレの備えた4階から設備のない2階に移ったことへ行政の真意をただした

▼いずれも改善、検討を約束させている。条例の円滑運用への貢献度は大きいが、障害者団体や連合会が一向声を上げないのはなぜか。県人権施策基本方針を策定する人権施策審議会はじめ各種委員会、審議会メンバーの団体は多く、発言の機会はむしろ多かろう

▼いわく言い難い理由があるのかもしれない。