伊勢新聞

2019年9月18日(水)

▼志摩市立中三年男子生徒の自殺問題で、同市教育委員会が第三者委員会を設置することを明らかにした。1年生の3学期からの不登校のあげくだったが、学校側はいじめを認識した措置はとっておらず、経緯を考えると「もっと丁寧に対応できた」と舟戸宏一教育長が見解を述べている

▼そのせいもあるか、第三者委「子ども重大事態調査委員会」は大学教授や臨床心理士など外部識者4人と弁護士など調査員2人で構成。県立高で発生したいじめ重大事態で県教委が組織した「いじめに関する調査委員会」が、弁護士と臨床心理士各1人を除く委員5人が校長や教員など学校関係者だったことに比べると、公正・公平性が際立つ

▼いじめ対策防止法は、児童生徒の生命、心身などに重大な被害の疑いがある「重大事態」に調査することを求めているが、調査主体は「学校の設置者またはその設置する学校」のどちらかとしており「学校の設置者」が自治体か教育委員会かあいまい。県の場合、県教委とは別に「県いじめ調査委員会」があるのはそのためだが、後者は一度も開かれていない

▼文部科学省の重大事態組織のガイドラインは、委員は「当該いじめの事案の関係者と直接の人間関係又は特別の利害関係を有しない者」と定めている。が、県教委の調査委は大半学校関係者で、しかも一人は「被害者担任」

▼公開を原則としている委員氏名について、学校関係者は黒塗り。学校内の長年の慣習がそののまま思考停止し常識として結論を左右するのは、その報告書で明らか。県教委は志摩市教委に学ばなければなるまい。