伊勢新聞

2019年9月6日(金)

▼県職員の不祥事や事務処理のミスを受けて、県が1月に「専門的かつ総合的な知見を有する方からの意見を聴取するため」設置したコンプライアンス懇話会。再発防止策をまとめてお役御免と思ったが、半年に一度開き半期ごとの不適切な事務処理事案の対応や再発防止策を検証するらしい。せっかくの防止策を忘れないために継承するのはいいことだ

▼再発防止策発表後に早速北勢福祉事務所(四日市市)職員の生活保護費申請放置の事案が発生している。開く意義も十分。「職員を孤立させずに連帯して処理」をなどの意見が出たという。職員を孤立させることが不祥事の連鎖を招くということだろう。できの悪い職員と思われたくないというのが孤立していく要因だが、パーソナル時代だけにそれをどう乗り越えるかが難しい

▼再発防止策についてもその量の多さに困惑しているらしい。「満遍なくやるのは大変で、メリハリが大事」など、指摘は相次いだようだが、多すぎるということだろう

▼再発防止策は、要は過去の不祥事を列挙して、原因を分析し対策をまとめたに過ぎない。メリハリ(強弱)をつけろとか、優先順位をと抽象的に言われても、県としては戸惑うばかりなのではないか。もう少し具体的に指摘しなければ県と懇話会の溝はこれからも埋まることはあるまい

▼前々回は「有効な対策が見つかるまで、原因分析を継続して、本当にそれが原因なのかを考え続けることが必要」という意見があった。今回は「良いと思う対策を全部打って、後でその効果を検証するのは駄目」。県も内心、困惑しよう。