2019年9月4日(水)

▼公文書の改ざん、隠ぺい、不適切管理などを受け、国も文書管理のガイドラインや規則を改正しているとして昨年10月の県議会で舟橋裕幸議員が公文書条例制定を求め、鈴木英敬知事が県民への説明責任を果たすために重要と応じて今年3月に着手。今回議会常任委に中間案を提出し、承認された

▼6月に素案を示し9月に中間案、12月に最終案というスケジュール。さすが県、スケジュールだけは順調だと言っては言い過ぎだが、有識者会議で疑問も出た3カ月でまとめたコンプライアンス再発防止策の、その3カ月後にまたも不適切事務処理が発覚したことを思い出す。スピード感は大事だが、拙速にならないかと心配になる

▼県の現在の公文書管理規程について、舟橋議員は、歴史を記録しているという根本的意義が抜け落ちていると指摘した。法はそれをうたうが、国は国会答弁用の想定問答を行政文書ではないとし、経済産業省は政治家発言を残すなと指示した

▼県はどうか。公文書管理規程は保存期間を3年以下から30年まで、文書の性質で定める。それ以内で失った文書もある。県教委が県立高いじめ重大事態でまとめた調査報告は「ホームページで6カ月間掲載します」。平成22年の鈴鹿市での児童虐待事件は今も掲載されている

▼何が歴史を記録する文書かで、見解の不統一がうかがえる。条例は簡略にし、要綱で詳細をと担当職員が言ったそうだ。「それはあかんぜ」と鈴木知事。「ちゃんとあるべき姿を記載するように」。経産省出身知事でさえ、職員の手際には荒っぽさを感じさせるようだ。