2019年9月1日(日)

▼高校2年生の3割は宿題を除く1日の勉強時間がゼロと文部科学省調査。進学と就職の卒業後の進路で学習時間に差が付く状況が浮かんだ、というが、大学を頂点とするピラミッド型の日本の教育構造で、いまさら浮かんだもないのではないか

▼文科省の担当者が「皆が前向きに勉強に取り組めるよう、授業などの改善に向けた検討を続けたい」。本心か。改善というなら、進学生徒以外は学習指導の対象と見ない教師の意識であり、それを黙認する学校の体質だろう

▼大学進学希望者の学習時間が最も長く、専門・各種学校希望者はその3分の1程度。就職組はさらにその半分という結果は、学校教育の現状を見事に数値化している。県立高に絞って調査をすれば、有名大学進学校から就職希望者校まで、同じような比率になるのではないか。さらに校長教頭、教職員人事も、エリートから落ちこぼれ先生に至るまで、比率に合わせて配置される形になっている

▼生徒の問題行動をある県立高に取材したことがある。「優秀な先生がこの学校の校長になればいいのに問題などない進学校に行き、能力のない私らが回される」と、そこの校長が血を吐くように言ったのは気の毒だった

▼私立高の就職組を対象に社会人授業をしたことがある。家庭学習どころか「まったく授業に関心がなく」というのが講座を設けた理由だったが、同じ内容で2回講義したうち、すっかりあがってしまった1回目と比べ、こちらに余裕のできた2回目の生徒の目の輝きは明らかに違った

▼高校生の知識欲は強い。勉強に向けられないだけである。