▼いなべ市の豚コレラ感染農家が他の畜産農家から離れているせいもあるのだろうが、7月30日に殺処分を含め防疫措置が完了して半月余、福井、長野と感染県が広がっているのに県で第2、第3の感染が確認されないのは奇跡に近いのではないか。鈴木英敬知事の懸命の封じ込め作戦指令がいまのところ功を奏している
▼北勢の一部地域での野生イノシシとニホンジカの狩猟禁止策もその一環。狩猟者が感染イノシシに接触しウイルスが拡散することを防ぐ。合わせて「みえジビエ」のブランドを風評被害から守る狙いもあるのだろう。汚染地域からの肉は一切、入り込んでいませんということだ
▼県が農林水産部内に「豚コレラ対策チーム」を設置したのは8日。関係機関との調整や広報を担う企画調整グループ▽農家の経営支援などを進める豚コレラ対策グループ▽野生イノシシの捕獲調査やワクチン散布に当たるグループ―で構成。「ジビエはまたちょっと別で」というのが知事のコメントだったが、ジビエの普及促進を担当するフードイノベーション課が加わっている。風評対策は飼養豚とジビエの両にらみだったのだろう
▼防疫措置の目玉は小動物も含め野生動物侵入防止策強化。大規模養豚県の鹿児島に学び、国と県の2分の1ずつで農家負担なしで防護柵など整備する。全国初の試みで「小動物も含めた野生動物侵入防止対策強化は喫緊の課題」と知事は胸を張るが、狩猟禁止対象に網を使用した小動物捕獲は含まない
▼ジビエと関係ないからか。ウイルス拡散の心配はないか。ちぐはぐな気がしなくもない。