▼三重県の外国人対応について「おっとりしている印象」と、県議会外国人労働者支援調査特別委員会に参考人として出席した名古屋出入国在留管理局の藤原浩昭局長。不法滞在者はもちろん、外国人労働者にその名をとどろかせてきただけある。言葉の使い方一つにすごみがある
▼「おっとり」は「細かなことにこだわらぬ」「緊迫感がない」など、意味に相反両面あるが、藤原局長は「三重(の取り組み)はニーズがあるのに」と前置き。いい意味だと受けとめるのはよほどのお人よしだろう
▼嘲笑を感じさせもする。昭和40年代半ば、四日市海上保安部警備救難課長で企業の工場排水垂れ流しを摘発。「公害Gメン」とその名をとどろかせた田尻宗昭氏は「知事には企業誘致を成功させたい一面がある」と県の公害行政を頭から信用しなかった。「上級官庁を鼻に掛けて」と当時の県担当職員の著書にある
▼地方分権一括法の成立で国と地方はそれまでの上下・主従から対等・協力関係になった。藤原局長は「おっとり」の具体的中身は示さなかった。旧習の体質は出先機関にこそより色濃く、受け継がれているのかもしれない
▼「好ましくない外国人の上陸を防げたときが大きなやりがい」と、平成30年度版「出入国管理」で出入国審査担当入国審査官。外国人労働者の受け入れ拡大に踏み切った昨年の入管法改正や、この4月の入国管理局から出入国在留管理庁へ名称変更。今一番変革を求められているのが同庁ではあろう
▼議会特別委は参考人拡大の意見続出。局長聴取が案外だったという気があるのかもしれない。