伊勢新聞

2019年7月20日(土)

▼安倍晋三首相が参院選の自民党候補応援のため2度目の県入りした。効果のほどは分からぬが、選挙ムードは盛り上がろう。自衛隊違憲を主張する共産党の支援を受けているとして野党統一候補を批判した。日本記者クラブでの党首討論会で「政治はイエスかノーかではない。印象操作をするな」と二者択一の挙手を拒否したが、共産党か自民党かを県民に迫る

▼もっとも「悪夢のような民主党政権」発言もある。「できもしない公約を掲げ」た民主党政権か、しっかりした財源で実行の自民党かの選択も示したらしい。埋蔵金に頼るか、日銀に際限なくお札を刷らせるか、ということだろう。後者の出口はまだ見えていない

▼民主党政権にげんなりした記憶は鮮明だが、第1次安倍(改造)内閣も相当げんなりした。お友だち内閣の閣僚が次々不祥事・失言で辞任し、自殺閣僚も。「政治とカネ」や消えた年金問題、所信表明2日後の首相辞任意向など。参院選の歴史的大敗で民主党政権への引き金になり、決められない政治の幕も開けたが、去る者は日々に疎し。新しい方が記憶に残るには違いない

▼自民党が、自衛隊違憲論の旧社会党との連立政権を発足させたのは平成6年6月。当時の村山富市首相(旧社会党)は自衛隊合憲を明言したのは翌月。「違憲じゃ政治にならん」が回顧談だ。共産党はどう変わるか、連立政権誕生でもなければ分かるまい

▼安倍首相の政権運営の巧みさは定評がある。第1次政権の失敗の教訓を生かしている、とは誰もが言う。「悪夢のような民主党政権」がこの次もそうだとは限らない。