伊勢新聞

2019年7月12日(金)

▼会員制交流サイト(SNS)を利用する青少年の犯罪被害を防ぐため、県警は「LINE」で啓発用広告を運用する。全国初の試みだが、マナー教育はどうなっているか、ちょっと気になった

▼県立高3女子の「いじめの重大事態」を調査した「高校いじめに関する調査委員会」の報告書で、傷つけた男子生徒が3日間の学校謹慎処分になったことに腹を立て、女子生徒がSNSに「殺していい? 平気な顔しておれんなあ」など書き込んで被害を拡大させた。調査委は、処分理由をクラスに十分説明していれば「未然に防げた」。マナー教育など問題にすらなっていない

▼教育現場を知らないわけではない。委員7人のうち弁護士と臨床心理士を除く5人は校長、教頭、被害生徒担任など教員。性格は第三者委員会とは言えないからだ。マナー教育など考えもしなかったということだろう

▼県教委が6月冊子にまどめた教員用教材「いじめ事例別ワークシート」は一番に「許されるいじめはあると思うか」と問いかけ「ないことを学ばせる」。調査委報告書は「被害生徒の保護者も、まずは(加害生徒と保護者の謝罪の)意思を受け入れ」。矛盾を感じるのは筆者だけか

▼「一概に学校側の対応にのみ問題があったとは言い切れない」とも。被害生徒側の受け止め方を問題にして、要求を「教育的判断として不可能」と決めつける。組織内ならではの判断ではある。県には別に「県いじめ調査委員会」がある。弁護士、児童専門医、大学准教授など、有識者だけで構成してるが、顔合わせはじめ一度も会合は開かれていない。