伊勢新聞

2019年7月6日(土)

▼会議員は国政を、県会議員は県政を―という役割分担はあるのだろう。参院選公示に伴う三重選挙区の与野党候補の第一声を紙面で見て、県政の問題がちっとも論じられていないのに寂しい気がしたのはお門違いか

▼県政の問題はすべて国の施策につながっていると、県議から国政に転じた中川正春衆議院議員。芳野正英前県議も「国が動かなければ県は動かない」と参院を目指す。で、訴えるのが国政の課題ばかりでは肩すかしにあった気がする

▼むろん吉川有美候補の「持続可能な社会をつくる」という訴えも、芳野候補が取り上げた高齢介護、非正規雇用、児童虐待の問題も、突き詰めれば県民一人ひとりに関わる。それはそれでいいとして、である

▼各党代表の第一声は、普段距離を感じさせる国政の問題だが、国民に身近に感じさせるかに工夫がこらされている。逆に、県民の暮らしに直結した課題をどう国政に取り上げていくかも聞きたいのである

▼みなさまのNHKに特化した門田節代候補の訴えは、事の是非はともかく身近には感じた。参院が比例代表制に決めた昭和57年、身辺雑事に特化したミニ政党が続々名乗りをあげた。選挙事務の煩雑が懸念され、国は選挙の売名利用を防ぐとの大義名分で、それまでの全国区の供託金200万円から400万円に引き上げ、多党化を封じ込めた

▼憲法が保障する立候補の自由や財産・収入での差別禁止に抵触すると批判がくすぶる。国民の多様な声や市井の問題が選挙で問われ、一定票を得た意見が国政で論じられる。民主主義の基本であり、政治の活性化を促す。