伊勢新聞

2019年7月5日(金)

▼参院選公示前の県内各政党代表ら談話で、女性活躍を連想させる政策を掲げたのが自民党県連の三ツ矢憲生会長だけだったのは、さすがというべきか、現職の女性候補を擁立しているから当然というべきか。「県初の女性参院議員」と紹介したのは、比例区当選者は別物という意味か

▼選挙制度の前提が分からないが、平成元年の参院選比例区で社会党県本部副委員長(当時)の三石久江氏が、同党土井たか子委員長の〝おたかさんブーム〟に乗って当選している

▼〝マドンナ旋風〟で女性議員が大量当選し「ご主人の職業は」と質問し「マスコミはすぐ夫の職業を聞きたがる」といたく不興を買った。その夫が三重大を定年退官すると「国会議員は国を考えるのが仕事。住所は問われない」と夫君とともに静岡へ転居し、支援した労働組合員らをげんなりさせた

▼堀之内久男農水相が三重選挙区の応援演説で土井委員長の独身を皮肉って聴衆を沸かせ、女性差別発言として問題になった。初当選の女性議員らが政治的未熟ぶりの指摘を受け「やっぱり女は」という評価が定着しもした

▼安倍政権の「女性活躍の社会」提唱のせいか、参院選候補の女性比率は最高になったが、自民党は最低で、政策とのずれを見せた。一方で、女性ファッション誌とのコラボで党名を前面に出さずに女性を政治に囲い込む試みをし、物議を醸した

▼県選管委員長の代わり映えのしない談話で、末尾で「特に若年層への投票参加を」と呼び掛けた。そのための見るべき啓発がないが、市場調査手法を踏まえた自民党の試みは、見習う必要がある。