伊勢新聞

2019年7月3日(水)

▼鈴鹿市の副市長が、県の天下りから生え抜き市職員に変わり、県OBは三代で途切れた。それ以前は市職員が二代続き、その前は県OBがやはり二代だから途切れたことが特に珍しいわけではないが、桑名市も3月いっぱいで県OBから市職員へ。北勢で県OB副市長がいなくなった

▼かつては県全体で、石を投げると出向も含め県出身副市長(旧助役)に当たると言われた。めっきり減ったのは、県と市とが対等の関係になったことと無縁ではあるまい。県のご機嫌をうかがわなくていいのなら、県OBなどごめんしてもらいたいというのが市職員の本音ではないか

▼昔は、上から目線の県出身副市長が少なくなかった。何かにつけ市職員を県に伴って仕事ぶりを見せ、これがお手本だと示して嫌がられり、市長と対立したりした。このところ県議から市長への転身組が増えたが、県OB副市長が散在していたころは、知事はOB市長で地盤を固めようとしていると言われたりもした

▼もっとも、後継含みを鼻にかけて疎まれ県に戻されたり、現職と選挙戦に突入したり、現職引退を画策したり。順調に後継に収まるケースは少なかった。今や県OB副市長と言えば、鈴鹿市から転じた伊賀市副市長くらいか。市長と学窓の縁で、取って代わる気などあるまい

▼鈴鹿市は当初は県OBも選択肢の一つだったらしいが、県の紹介者は事務系に限られ、市から名指しでもない限り技術系を紹介することはまずない。後任が技術畑一筋であることで市の希望は分かるというものだが、そんなことは県にとってお構いなしに違いない。