伊勢新聞

2019年7月1日(月)

▼サッカー女子ワールドカップフランス大会で日本代表チーム「なでしこジャパン」は決勝トーナメント一回戦で敗退し、前回の準優勝、前々回の優勝から大きく成績を後退させた。本紙検証記事で「(修正点を話し合い)次にチャレンジしようと言っても、がらりとメンバーが変わる。かけた時間は何だったのか」という声が上がっていたという

▼優勝した前々回大会では、毎試合後「それこそ徹底的に話し合った」と成功体験として語っていた。主力のけがなど不運が重なったこともあるが、高倉麻子監督は「誰が出ても同じことができる」チームづくりを目指した。先発メンバーはくるくる変わった

▼佐々木則夫前監督は不動のメンバーに加え、控え選手には「勝負を決めるのは君らだ」と指導した。あうんの呼吸が随所に見られ、交代選手は自分の役割を自覚してピッチに臨んだ。全員ゼネラリストか、ゼネラリストとスペシャリストの組み合わせか。組織論としても意見が分かれるところだろう

▼県はかつて福祉立県を目指した。福祉部長から三役への登用もあり、福祉部は事務職ながら他部門への異動は少ない専門家集団になった。人事の停滞が問題になってくるのは当然。がらりと変わったのは北川改革から。農林、土木などの技術職と事務職との交流にも積極的だった

▼活性化したのは確かだが、2、3年で異動する人事体制もより定着した。児童相談所も専門知識、教育が追いつかない。AI導入で補うこととは別の問題で、ゼネラリストとスペシャリストとの組み合わせは、組織論として永遠の課題である。