伊勢新聞

2019年6月28日(金)

▼タイミングかいいのかどうか。国際労働機関(ILO)でハラスメント全面禁止の条約が圧倒的多数で採択されて一週間のこの時期に、未成年の教え子を自宅に宿泊させて添い寝をしたとして、農業大学校の准教授だった54歳の男性主幹が停職5月の懲戒処分となった

▼処分理由に「セクハラ」の言葉がないのは「セクハラ罪はない」からか。「停職5月」という処分も重いのか軽いのか。4月1日から厳罰化したという県の懲戒処分の指針はホームページに見当たらないが、同じ内容という県教委の指針でも、セクハラは児童生徒と同僚との区別が明確でない

▼昨年3月、職員の女性ら5人にキスしたり抱きついた児童相談センター男性技師がセクハラで初めて免職処分になった。セクハラと強制わいせつの区分もあいまいだ。かつて部長と不健全な交際のあった臨職が本庁4階から飛び降り自殺を図ったことがある。県の臨時職員の女性が、臨職経験のある母親から「県職員はくせが悪いから気をつけなさい」と言われたという。立場の弱い者に対する県幹部のわいせつ的言動には定評がある

▼児相技師の免職も、相手が正職員だったからかもしれない。農業大学校准教授は、懇談会で学生の飲酒を見逃した上「相談を受け(懇談会後も)しゃべりたそうだったので自宅に招」き、宿泊させた。その後も自宅で添い寝した

▼立場を利用できる相手でなければこうはなるまい。県の再発防止策では25―30年度のセクハラ、強制わいせつは3件。農業大学校は入っているか。うつになる被害者が多いパワハラはゼロ。