伊勢新聞

2019年6月15日(土)

▼いじめが認定された県立高男子生徒二人を、学校は三日間、別室で学習させる学校謹慎処分というのにした。そんな処分があるとは知らなかった。いじめ防止指針とかマニュアルとか、県教委はいじめ対応を多く策定するが、基本が早期発見、早期根絶だから、市販の解説書の域を出ない。重大事態はなくすのが前提だから、発生したらどうするかの検討はされていないのではないか▼調査した第三者委員会も、重い処分としながらも、なぜ、そんな処分になったのか、両生徒だけでなく、クラス全体にも理解させる教育活動が必要だったと指摘している。いじめとの関係が分からないということだろう。そこがきちんとしていれば、SNSで拡散させた女子二生徒の二次加害はなかったと推定しているから、ことは重大だ▼被害生徒側は学校への不信感が強く、加害者側の退学処分など、視界に入らない対応を強く求めている。いじめと処分の関係が不明確だからではないか。ていねいな説明を委員会は促す。言葉付きだけ、いわゆるいんぎん無礼にということではあるまい▼いじめと不登校との「因果関係」を認めながら「条件関係を指し、民法上、刑法上の因果関係を判断したものでない」「登校の再開を呼び掛けたい」という調査委の報告もよく分からない。調査委が判断するものかどうか。けんか両成敗。あるいは公平・公正を装うということか▼退学処分は「教育的判断として不可能」ともいう。公立高校生だった昔、学友が喫煙で大量退学になった。いじめと喫煙とで、大きな違いは時代の見る目ではないか。