伊勢新聞

2019年6月13日(木)

▼県警本部の横断歩道塗り直し予算請求に、鈴木英敬知事が「緊急に必要とはどういう基準か」と追及した一昨年の知事査定の前、珍しく車が数珠つなぎだった県警本部前で「ほらほら横断歩道でしょう。歩行者が渡っています。危ないから停車して」とパトカーから声を掛けられた。慌ててブレーキを踏むと、対向車の背後から歩行者が姿を現した

▼横断歩道の白線がはげかけていた。県警本部前がこれでは県内は推して知るべしと感じ入ったが、知事査定後間もなく県警本部前の2本は鮮明になった。テレビで愛知県警が横断歩道前の一時停止の指導をしているのを見たのは、そのかなり前だ。横断歩道に歩行者が立っているのを見たら一時停止するという交通ルールが同県内で守られず、事故、トラブルが多いためという

▼三重県警が毎月11日を「横断歩道SOSの日」に定めた。日本自動車連盟(JAF)の昨年調査で一時停止率が1・4%。全国平均8・6%をはるかに下回るワースト3位で5月末現在、松阪、桑名両市で2件の横断歩道上の死亡事故が発生している。尻に火が、と言っては品がない。足元に火がついてということか

▼肝心の白線が見えるかが心配だが、3年ほど前マナーが悪いとされた愛知県は今回22・6%で上位6位。県は当時どうだったか。JAFのホームページによると、横断歩道での一時停止状況調査を始めたのは平成28年でやはり3年前からだが、公表は昨年分だけで、それ以前は非公開だそうだ

▼何のための調査かと首をかしげるが、いろいろと深い意味があるのかもしれない。