伊勢新聞

2019年6月12日(水)

▼定数割れで補欠選挙も懸念されて、定数確保の見通し後も、無投票阻止や出馬断念騒ぎなどの混迷を経た度会町議選が終わった。有権者7034人の審判を11人で仰いだが、有権者が少ない選挙ほど厳しいと言われる。「地元にしこりを残してはいけない」という親戚の言葉に一時断念を決意する候補者も出るほど、度会町議選もなるとなかなかの激戦だったようだ

▼40歳の新人がトップ当選。若さへの期待が大きかったか。4期の女性候補が落選した。本紙アンケートで定数減に反対し「もっと女性が議員になるべき。そのためにはこれ以上議席を減らすべきではない」と回答していた。同感する部分が多かっただけに、女性議員ゼロになったのは残念だった

▼投票率は72・60%。県議選に比べれば格段に高いが、それでも前回を下回った。新人2人が激突した同日選の町長選も72・59%の高率ながら、平成19年の前回選から大幅に下げた

▼同町議会は昨年、一昨年の2年続きで小中学生にランドセルや制服を現物補助する入学準備品予算案を削除。代わって給食費の一律補助案を可決した。無投票を全員が「悪い」とし、そのための努力も惜しまなかった。若者へ議席をどう継承するかも真剣に考えていた。しかし、住民の関心は、ご多分に漏れず町行政、町議会から離れつつある

▼候補者やその活動への無理解、無関心というより、参加意識の問題ではないか。町長、議員がそれぞれの本分を尽くすのは当然ながら、町政、議会の運営に、どうしたら一緒に参加してもらえるか。試練のスタート台に立っている。