▼津市の国道23号で昨年12月、三車線を横切って中央分離帯の開口部から対向車線側に出ようとしたタクシーと直進してきた乗用車が衝突して乗客ら6人が死傷した事故で、県警は直進車の運転手を危険運転致死傷容疑で逮捕した。タクシーの運転手(死亡)は過失運転致死傷で書類送検するという
▼通勤道路に思いもせぬ障害物があって衝突したが、障害物を置いた方より、避けられぬ運転をしていた側により重い責任があるということだろう。乗用車は制限速度60キロをはるかに超える120キロ以上で走っていた。「速度はあらゆる事故に直結」すると県警交通指導課は速度順守を訴える。ごもっとも
▼開口部はバリケードで封鎖された。とっくに閉鎖していた箇所もあるが、現場は危険だと見なされていなかったのだろう。園児の列に車が飛び込んで初めて危険が分かった大津市の交差点を連想する
▼周辺車のドライブレコーダーの解析で高速走行が分かり、15日の実況見分になったようだが、車両を規制して水をまいて雨を再現。実際より2時間早い午後8時からの見分でも、確実なデータは得られるのだろう
▼先日の深夜、雨の中を側道から本道に出る直前、停止線で一時停止したつもりでぞっとした。停止線に見えたのは本道のセンターラインで、あったはずの停止線はほとんど消えていた。本道直進車に衝突されても、むろん当方の前方不注意。責任が直進車にはなるまい
▼割り切れぬ思いで現場を去ったが、逮捕された運転手は「(車を)制御できないという認識はなかった」。割り切れぬ思いに違いない。